全米レコード工業会、P2P による著作権侵害について大学に警告
全米レコード工業会 (RIAA) は2月28日、ピアツーピア (P2P) による違法なファイル交換に対して新たな法的活動を開始し、訴訟を受ける前に和解するよう勧める書簡を複数の大学に送付したことを明らかにした。
RIAA は大手レコード会社の代理として、「訴訟前の」和解を提案した書簡400通を、米国の大学13校に送った。RIAA はそれぞれの書簡で、各学校の学生または職員1名を著作権侵害で近く提訴すると通知した。
RIAA は各学校に対して、該当する学生に書簡を転送するよう求めている。同団体は書簡のなかで、著作権侵害に対する和解金の「割り引き料金」を提示した。どの程度の減額なのかは明らかにしていないが、RIAA は事実上、提訴前に和解する機会を学生に与えた形になっている。
RIAA 会長兼 CEO の Mitch Bainwol 氏は、次のように述べた。「抑止プログラムや教育プログラムでは、著作権侵害問題を『解決』できないことは分かっている。音楽の盗用は、依然として容認できないほど高い頻度で起きており、新たな音楽に対する業界の投資力を損ねている。これは特に、大学キャンパスに言えることだ」
Bainwol 氏は今回の新たな法的活動について、P2P を用いた違法な音楽ファイル交換に対する戦いを「大きく進めるもの」と呼んでいる。同氏によれば、RIAA は過去3年間で8000人の学生を提訴しており、今後12か月で訴訟前の和解を勧める書簡を5000通送付する計画という。
音楽業界が P2P 利用者を提訴することに、かねてから批判的な立場を取っている電子フロンティア財団 (EFF) は、今回の RIAA の措置に成功の見込みはないと、早くも反発の声を上げた。
EFF の広報担当 Rebecca Jeschke 氏は取材に対し、「(RIAA の行動は) 特別良い戦略ではない。(通告を受けた) 学生らは、ほかの技術に鞍替えするだろう」と述べている。