Swisscom、イタリア2番手の IP サービス事業者 Fastweb 買収へ
スイスの通信グループ Swisscom は12日、イタリアで2番目に大きい IP サービス事業者 Fastweb を買収すると発表し、Fastweb が条件付きの株式公開買い付けに前向きな意思表明をしたことも明らかにした。
発表によると、Swisscom は Fastweb 株の公開買い付けを1株あたり47ユーロ (61.83ドル) で実施するという。買収額は最大で37億ユーロ (約49億ドル) になる見通しだ。この公開買い付けは条件付きとなっており、その1つは、Fastweb の株式資本に占める Swisscom の取得比率が少なくとも過半数 (最小で50%および1株) に達することだ。
Fastweb は、イタリア各地130以上の都市でサービスを展開し、100万件を超えるブロードバンド契約を擁している。Swisscom は声明の中で、Fastweb の買収は3つの分野で強みをもたらすと述べた。1つ目は Swisscom のインフラをさらに発展させるために重要な新技術の分野で、Fastweb は Swisscom より3年から5年は先を進んでいるという。2つ目は Fastweb が持つ競争力の高さだ。Fastweb は、ブロードバンドにおける複合メディア アプリケーションという戦略的に重要な分野の経験が豊かで、2001年以来 IP テレビサービスを配備済みという。そして3つ目は、長期に渡り急速な成長を成し遂げフリーキャッシュフローを増やしてきた Fastweb の獲得により、Swisscom のキャッシュフローを大幅に改善し得ることなど、財務的にも大きなメリットを見込めることだ。
アナリストらは、この買収が両社に恩恵をもたらすと見ている。
Gartner のアナリストで、イタリア在住経験もある Patti Reali 氏は、「Fastweb はこれまでずっと、『トリプルプレイ』実装の成功事例だった」と説明した。同氏によると、ユーザーに知識があることとパソコン普及率の高さが、イタリアを非常に魅力的なブロードバンド市場にしているという。
Fastweb は昨年、News Corporation 傘下のデジタル衛星テレビ局 Sky Italia のコンテンツを、ブロードバンド顧客に配信するための契約も結んでいる。
さらに Swisscom は、Fastweb がイタリアで仮想移動体通信事業者 (MVNO) として事業を行なうことを支援すると述べた。Reali 氏によると、Swisscom には Vodafone が25%資本参加しているという。
Swisscom にとって今回の買収の目的は、Fastweb の IP 技術における先進性を獲得して活用することだが、Swisscom は株主たちに対し、Fastweb は Fastweb のまま残ると約束した。Fastweb の事業部門、経営陣、営業活動は、Swisscom と分けて継続するという。