ウィルコム、過疎地での PHS 利用に向けた J:COM との実証実験に成功
ウィルコムとジュピターテレコム(J:COM)は、2007年3月12日、ケーブルテレビネットワークを活用した PHS サービスの拡大に向けた実証実験に成功したと発表した。
この実験は、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)の平成17年度、18年度の高度通信・放送研究開発に係る委託研究テーマ「ケーブルテレビネットワークにおけるモバイル端末接続技術の研究開発」プロジェクトにおけるもの。
NICT は、ケーブルテレビネットワークとモバイル端末とを連携させ、過疎地を含む全国各地でユビキタスモバイルサービスを実現するための技術開発を進めている。
実験では、東京都練馬区高野台の J:COM のサービスエリア内において、試作基地局10台を設置し、限定的なサービスエリアを構築。
このエリアの中で、PHS 端末からの発着信の接続率、通話品質、データ通信速度の検証を目的とする実証実験を行い、現在の PHS サービスと同等の品質(接続率99%以上、データ通信速度 300kbps 以上)が得られていることが確認された。
また、基地局間の送信タイミングのずれが40×10-6秒/日以下の精度で安定的に同期が確保され、端末が移動したとき瞬時に基地局を切り替えるハンドオーバー処理が行われていることも確認されている。
これらの結果から、従来の PHS アクセスラインと同様に、ケーブルテレビネットワーク活用の有効性が実証されたとされる。
ケーブルテレビネットワークと PHS 事業者とを IP ネットワーク接続することにより、これまで実現困難であった山間部やビル陰などの電波が遮断された場所でのモバイル通信が容易に実現できることが期待される。
また、ケーブルテレビ事業者が PHS を活用したモバイルネットワークを構築し、既存のケーブルテレビネットワークと PHS とを融合させたサービス(FMC)実現などの可能性が拡大するという。