2007年3月25日日曜日

ライブドア、遠い「再生」 見えぬネット黒字化

ライブドア、遠い「再生」 見えぬネット黒字化

 ライブドアが事件の後遺症から脱却しようともがいている。23日の法人への有罪判決に対し、控訴しないことを表明するなど、過去との区切りを強調した。4月からは持ち株会社に移行して法令順守の体制を整え、「新生ライブドア」をアピールしたい考えだが、本業のインターネットサービスの黒字化への道筋が示せないなど課題もある。
 「控訴審で使うエネルギーを会社再生へのエネルギーに向けたい」
 平松庚三社長は23日、控訴を見送る考えを表明した東京都内での記者会見のなかで、会社再生への意欲を強調した。
 事件については「厳粛に受け止める」と繰り返しつつ、ネット関連の「テクノロジー企業として再生したい」と強調。「過去と決別し、未来に目を向けるライブドア」をアピールした。
 ライブドアは4月から、インターネットサービスに関連する事業を分社化したうえで持ち株会社制に移行。事件の反省をふまえ、持ち株会社が子会社を管理し、法令順守などが一層チェックできる形に改める狙いだ。
 事業面では、本業のネットサービスを手がける「新ライブドア」がかぎを握る。ポータルサイトの月間利用者数は1700万人で、楽天の仮想商店街など有力サイトに匹敵する。「固定客」もついており、事件後も利用者数に大きな変化はないという。平松社長は「新ライブドアの出発点になる数。全然心配していない」と自信を見せた。
 同社の広告も事件前の7~8割程度に戻り、平松社長は同社を再生の中核に据える考えだ。
 ただ、課題は残る。持ち株会社は当面、訴訟対策に時間を割かれる。
 既にライブドア相手に起こされた株主らの損害賠償請求訴訟は11件で請求額の合計は300億円に達する。ニッポン放送を巡る買収合戦の相手となったフジテレビジョンも近く、345億円の損害賠償請求訴訟を起こす意向だ。
 06年9月期連結決算では、ネットメディア事業をはじめ、すでに売却された金融部門以外はすべて営業赤字だった。平松社長は昨年12月の朝日新聞社とのインタビューでメディア事業を9月までに単月黒字化する目標を示した。しかし、現段階でもその道筋は見えない。赤字脱却の具体策が問われる時期に来ている。