Microsoft に、Alcatel-Lucent への15.2億ドルの賠償を命じる評決
カリフォルニア州サンディエゴの連邦地方裁判所の陪審は22日、Microsoft (NASDAQ:MSFT) が MP3 エンコーディング技術の特許を侵害したとして、15億2000万ドルを Alcatel-Lucent に支払うよう命じる評決を出した。判決が確定した場合、特許侵害の賠償金額として史上最大となる。
陪審の判断によると、Microsoft は『Windows Media Player』において、Alcatel-Lucent が所有する2件の特許を侵害した。特許侵害が認められたバージョンの Windows Media Player は『Windows Vista』にも搭載されている。今回の評決は、Alcatel-Lucent がMicrosoft に対する特許技術の使用禁止を求めることを認めるものだ。また、MP3 の技術を使っているほかの多くの会社に対する訴訟への道を開くことにもなりそうだ。
だが、これでもまだましなほうかもしれない。特許侵害が故意に行なわれたという Alcatel-Lucent の主張については判断がつかず、賠償金額の算出にあたって考慮されていない。この主張が認められていれば、賠償金額は3倍になっていたはずだ。
当然ながら、Microsoft はこの評決に不服を表明している。Microsoft のコーポレート バイスプレジデント兼副法律顧問を務める Tom Burt 氏は、Eメールの中で次のように述べた。「この判決には法的根拠がなく、いかなる証拠にも基づいていない。今後は現裁判所での救済手段を模索し、場合によっては上訴する」
さらに Burt 氏は、次のように述べている。「当社は業界で認知されているライセンサの Fraunhofer から MP3 技術の正規ライセンスを取得した。ほかの大小さまざまな数百の企業と同じやり方だ。そして、われわれが Fraunhofer に支払った技術使用料が1600万ドルだということを考えれば、今回の評決の賠償金額が法外なものだと分かる」
Alcatel-Lucent 側の見方はもちろん異なる。Alcatel-Lucent の広報担当者は、「われわれは自らの主張を支えるための議論を力強く訴えた。われわれは裁判所の判断を喜んでいる」と語ったが、会社として判決にどう対応するかは明言を避けた。
ドイツの研究機関 Fraunhofer Institute for Integrated Circuits IIS は、Bell Labs とともに MP3 音声圧縮技術の開発を支援した。Bell Labs は現在、昨年 Alcatel と Lucent Technologies が合併してできた Alcatel-Lucent の傘下にある。
訴訟の発端は2002年にさかのぼる。当時、Lucent は MP3 技術の使用をめぐって Gateway と Dell を訴えた。問題の技術には、Windows Media Player で使用されている MP3 技術も含まれていた。Dell と Gateway が敗訴した場合、Microsoft に損害賠償を請求することが予想されたため、Microsoft も裁判に加わった。そして開廷したときには、Microsoft と Alcatel-Lucent の争いが焦点になっていた。