国際的海賊版流通組織の中心人物、米国に身柄引き渡し
オーストラリアとの3年にわたる交渉を経て、米国政府はようやく warez グループ (著作権を無視した海賊版ソフトウェアの配布や販売を行なう)「DrinkOrDie」の中心人物と目される Hew Raymond Griffiths 被告 (44歳) の身柄を確保した。
英国生まれでオーストラリアに住む Griffiths 被告は、米連邦地方裁判所に姿を現し、著作権侵害および著作権侵害の共謀に関与したとして裁かれることになった。
両方の容疑で有罪となれば、Griffiths 被告は最高で禁固10年および罰金50万ドルという刑罰を受ける可能性がある。インターネットで流通している海賊版の大多数の供給源になっているのはリリースグループと呼ばれる集団だが、warez グループはリリースグループに海賊版を供給する1次プロバイダの役割を果たしている。
米司法省 (DoJ) は2003年、最初の起訴状の中で Griffiths 被告を国際的な海賊版流通組織「DrinkOrDie」のリーダーであると名指しした。それ以来、同被告はオーストラリア国内に拘置され、米国への身柄引き渡しを拒んで争ってきた。
米司法副長官の Alice Fisher 氏は声明で次のように述べた。「Griffiths 被告は、米国の法律は自分には及ばないと主張したが、本日そうではないことが証明できた。今回の身柄引き渡しは、たとえ地球の裏側にいようとも、米国の法律を犯す者から知的所有権を守るという司法省の姿勢を示すものだ」
司法省によると、DrinkOrDie は1993年にロシアで結成され、90年代を通じて国際的に拡大していったという。司法省と米移民税関執行局 (Immigration and Customs Enforcement) は2001年、米国、英国、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、オーストラリアにおいて70か所以上を捜索し、同組織を解体に追い込んだ。
『Operation Buccaneer』と呼ばれるこの一斉捜索の結果、これまでのところ30名が重罪で有罪判決を受け、また米国人以外も10名がそれぞれの国で有罪となっている。
司法省は Griffiths 被告について、DrinkOrDie の中心人物であり5000万ドル以上に相当するソフトウェア、映画、ゲームの海賊版の複製および配布を指示したと主張している。起訴状によると、Griffiths 被告は DrinkOrDie のほか「Razor 1911」や「RiSC」など複数の有名な warez グループにおいても指導的役割を担っていたという。