2007年5月6日日曜日

通貨危機に備え多国間体制、アジア版IMF創設の可能性も

通貨危機に備え多国間体制、アジア版IMF創設の可能性も

 東南アジア諸国連合・日中韓(ASEANプラス3)の財務相会議が5日、京都市内で開かれ、通貨危機に備えて外貨を拠出し合う新たな多国間体制の構築を盛り込んだ共同声明を採択して閉幕した。
 新体制は、参加国が外貨準備の一部を拠出し合い、一元的に管理するプール制の形をとる。ある国に通貨危機が発生すれば、このプールから通貨買い支えのための資金を提供する。アジア版の国際通貨基金(IMF)の創設につながる可能性がある。
 1997年のアジア通貨危機は、タイ・バーツの暴落をきっかけに各国通貨が急落し経済に打撃を与えた。ASEANプラス3はその後、2国間で危機発生時に通貨を融通し合う協定を張り巡らせる防衛策をとっている。
 今回合意した新体制は、この通貨交換協定網(チェンマイ・イニシアチブ)を発展させるもので、より大きな資金を迅速に融通することで、通貨の異常な急落を食い止める効果があると期待されている。
 今後、拠出の総額や参加国の拠出割合、借り入れ限度額、発動方法などについての協議を進める。
 一方、共同声明は、経済発展に必要な資金を域内で調達するため債券市場を活性化させる「アジア債券市場育成イニシアチブ」を進める方針で一致した。アジア各国は貯蓄率が比較的高く、これを発電所建設など経済基盤の整備に有効活用しようとするものだ。
 また、アジア経済について「成長見通しは依然として好調」とした上で、「主要国経済が減速した場合の波及効果」などのリスク要因があると指摘。米経済の減速懸念などを注意深く見守る必要性を示唆した。