2007年5月16日水曜日

子どもとケータイ 授業中もメール 親は知ってる?

子どもとケータイ 授業中もメール 親は知ってる?

 授業中も、深夜も携帯電話でメール-。そんな中高生が少なくなく、頭を抱えている教師もいる。携帯は、使い方によっては勉強を妨げたり、成長期の睡眠を乱したりしかねない。調査などからみる、その実態とは-。 
 神奈川県内のある公立高校。校風は自由で、三年の教室では授業中、自分の携帯をいじっている生徒が多いという。音を消してメールを打ったり、インターネットサイトをのぞいたり。「怒る先生もいれば、見て見ぬフリをする先生もいる」と女子生徒の一人(17)は話す。
 東京都内の私立高校では、教師が授業中の携帯利用を厳しくチェックする。三年の男子生徒(17)は「見つかると没収される。それでも、ばれないようにメールしたり、ゲームしたりしている子もいる」と明かす。
 今や、中学校でも携帯を持ってくる生徒が増えているが、都内の私立女子中学校の場合、携帯持参は申請し、許された人のみの許可制。「けれども無断で持って来ている子は多い」(二年女子)。授業中、携帯利用が見つかると校長室に呼び出されるという。
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 群馬大大学院の下田博次教授の研究室が昨年まとめた、静岡、長野、大阪など十都府県の中高生約一万四千人の調査では、中学生は三割強、高校生では九割強が携帯を所有。このうち授業中にメールをする生徒は、「よく」と「時々」合わせ全体で26%と四人に一人。深夜にメールをする生徒は63%に達した。
 中高生の九割は普段、「学校の友人」とメールをやりとりしており、一日平均五十通以上のメールをする生徒も一割いた。だが、「子どもが授業中に携帯を使っていると思っている」保護者は一割に満たず、「深夜にしていると思っている」のは38%で、子どもの使用実態と親の認識には開きがあった。
 今回の調査対象者の学校では、携帯の持ち込みが中学校の九割で認められず、高校の九割は条件付きで認めている。
 中高校の教師に「携帯での心配や困りごと」を複数回答で尋ねると、「持ち込みなどのルール違反」「授業中の着信音などのマナー違反」「授業中の利用」がそれぞれ約50%。高校に限ると「授業中の利用」を挙げた教師は70%に達した。
 都内の公立高校の教師は「子どもは学校と家で違う顔を見せるので、親が知らなくても無理ないが、携帯は場を理解して使うことが大事。授業中やっていたら教師は注意しないと」と話す。
 学校への携帯持ち込みについては、東京都や横浜市、名古屋市の教育委員会はいずれも「各学校の判断に任せている」。
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 さらに調査では、携帯を買い与えるとき、保護者の四割弱がルールを決めているが、「利用料金の上限を決めた」が87%と最も多く、インターネットやメールに関しては少ないことが分かった。
 下田教授は「メールやネット利用に関するルールを最初に話し合うことが大事だが、多くの親はどんどん進歩する携帯の機能を理解しきれていない」と指摘、こう提言する。「市民をインストラクターとして養成し、同じ親の目線で、親の問い合わせや相談に応じる窓口を各地域につくることが必要です」