ゴーン社長に試練、初の減益に株主から批判 日産
カルロス・ゴーン社長就任後、初の営業減益となった日産自動車の株主総会が20日、横浜市で開かれた。「世界販売420万台」などの必達目標(コミットメント)の達成を1年先送りしたことに対する株主の視線は厳しく、ゴーン社長の辞任や役員報酬の削減を求める声が上がった。
出席した株主は昨年より393人多く、過去最多の2135人だった。質問に立った株主は8人で、うち4人はゴーン社長の経営手法の問題点をただした。「ゴーン氏のだれも寄せ付けないカリスマ性が、社員の愛社精神を低下させている。ゴーン社長の役目は終わったのではないか」などの厳しい指摘も出た。
取締役9人で計25億円という年間役員報酬額の削減を求める意見には、大きな拍手が上がった。
さらに「日産にはなぜハイブリッド車がないのか」など、トヨタ自動車やホンダが先行している環境技術面での遅れを指摘する意見も多かった。
ゴーン社長は「目標未達という結果を真剣に受け止める」とあいさつ。前年、常勤取締役4人に計3億9千万円を支払った役員賞与を今年は支給しないことを表明した。
それでもゴーン社長は「経常利益や営業利益率などは高水準だった」と反論。トヨタやホンダに比べて「株価水準で過小評価されている」といらだちものぞかせた。
07年4~6月の業績は前年同期を下回るとしながらも、08年3月期は世界で10車種の新型車を投入する効果などが見込まれるとして、「当初予測は変更しない」との強気の見通しを示した。
記者会見では、インド市場向けに1台3千ドル程度の超低価格車の開発が可能かどうか、仏ルノーと共同で調査していることも明らかにした。
総会後の懇親会では、ゴーン社長が株主らに囲まれてサインを求められるなど、人気の高さは相変わらずだった。