郵政民営化法が施行
郵政民営化法がきょうから施行される。これに伴い、郵便貯金銀行と郵便保険会社は業務範囲、子会社保有、合併などが同法に基づいて規制される。本日から監督官庁となる金融庁はそれらの項目について、郵政民営化法施行に伴う政省令(ビジネスモデル政省令)を、最終的に9月6日に金融商品取引法関連、9月8日に他法律との関係で整備した。今後、2017年10月1日までは民営化移行期と位置付け、郵政民営化委員会は3年ごとに民営化の進ちょく状況について総合的な見直しを実施する。 きょう付で日本郵政公社法、郵便貯金法、簡易生命保険法は廃止され、郵政民営化法に統合される。郵便事業会社(郵便事業株式会社)、窓口ネットワーク会社(郵便局株式会社)、公社継承法人(独立行政法人郵便貯金、簡易生命保険管理機構)が設立され、持株会社となる日本郵政株式会社は、郵便事業株式会社および郵便局株式会社の発行済株式のすべてを保有する。 郵便貯金銀行、郵便保険会社には自立するまでの間、安定的な代理店契約があることなどを条件に銀行業、保険業のみなし免許が付与される。郵便貯金銀行、郵便保険会社の定款には議決権の連続的保有ができるよう、議決権の行使に関する事項を規定する。日本郵政株式会社の経営委員会は廃止され、持株会社として機能。郵便法等関連法など所要の改正を行い、整備法として、経過措置規定を設けることになる。 郵便貯金銀行から預金保険料相当額が日本郵政株式会社に交付される。郵便貯金銀行は預金限度額、業務、子会社保有、合併などについて郵政民営化法のもと規制されるが、2017年までは状況に応じて民営化委員会の意見により、緩和される。郵便保険会社も同様、保険金額、業務、子会社保有、合併などが規制される。 この規制は金融庁が「郵便保険会社に係る政省令」として2006年5月から整備を進めてきた。民間の保険は限度額がないが、民営化法第137条関係政省令では、郵便保険会社の保険商品の場合、原則として15歳以下700万円、16歳以上1000万円までの契約限度額を定めた。20歳以上55歳以下で加入後4年経過している保険契約がある場合は、さらに300万円まで増額することができる。一方、終身年金保険や定期年金保険、夫婦年金保険に属する第一分野の限度額を年額90万円までとした。介護割増年金付終身年金保険の割増年金は別枠で考えて、限度額を設けない。 また、民営化法第138条関係政省令では業務範囲を規定。郵便保険会社が引き受ける保険として再保険、終身保険、被保険者が3人以上の場合、医師の告知が必要な保険、保険料や保険金、返戻金などが外貨建ての保険、特別勘定で運用する商品などは総務大臣と金融庁長官の認可を必要とした。郵便保険会社が貸し付けられる範囲として、保険契約者、地方自治体、コール資金、他の民営化会社、郵貯・かんぽ管理機構などを挙げ、それ以外への貸付は同様に認可が必要とした。 運用については国債証券、地方債証券、金融債、特定社債券、社債券、貸付信託の受益証券、外国債、投資目的以外の不動産取得、譲渡預金の預金証書、コマーシャルペーパー、金融デリバティブ取引のうち先物外国為替取引や通貨オプション取引にかかわる権利を表示する証券または証書、短期社債、有価証券、金融機関への預金、信託会社または信託業を営む金融機関への信託、有価証券オプション取引、通貨オプション、先物外国為替などの範囲を可能とした。 民営化法第139条関係政省令では郵便保険会社の子会社にできる範囲を規定。生保、損保、少額短期保険業者、保険業を営む海外の会社を子会社にすることを禁じ、銀行、証券専門会社、証券仲介専門会社、信託専門会社、銀行業、証券業、信託業を営む海外の会社は子会社にすることを可能とした。新たな事業分野を開拓する会社や従属業務を専門に営む会社などは届け出の上、認められる。 金融庁は「この政省令は実施計画の基になったもので、そのため、ビジネスモデル政省令と呼ばれてきた」としている。 郵便保険会社は今後、民営化法のもとで総務大臣と金融庁長官に業務報告書を提出することになる。郵便保険会社を所属保険会社とする社内以外の生命保険募集人事務所の設置状況を含め、中間事業報告書、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書、中間株主資本など変動計算書、保険金支払い能力の状況に関する書面―などの提出が求められる。
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